MITA通信

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春を呼ぶ、阿弥陀「ため池」(竿池・弟池・惣毛池・大日池)の野焼き

2021.2.7

大切な伝統行事。阿弥陀のため池の野焼きが2月7日に行われました。
壮大な堤体がパチパチと燃えていく様を見ればパワーをもらう大好きな光景です。
阿弥陀地域の2月初旬に行われる野焼きは、ため池を維持するための大切な作業。
野焼きをすることで前年に生えた枯れ草を焼却し、堤体が雑草原野に変わってしまわないよう低木類を抑圧して、新しい草の芽立ちを助けます。そうすることで若い新芽が出てきて更に堤防が強く生まれ変わった堤体を維持することができるのです。
播磨富士と呼ばれる高御位山を背景に緑と池の水が映す空の青とのコントラストがすばらしく、阿弥陀地域の自然のパノラマとして絶景な場所です。
炎が上がり、風景が変わっていく9時半頃、水利組合役員の方々による予焼きが進みます。煙と炎が上がり始め、遠くから眺めていてもはっきりと炎は上がっています。草がよく乾燥しているので、火は瞬く間に広がり、ため池法面を焦がしていきます。
その間パチパチ、メラメラ、ゴォーと燃える音が混ざり合って聞こえ、徐々にこちらに近づくように広がってくるので、遠くで見ているだけでも恐怖を感じます。近隣の住宅に日が燃え移らない様、消防団の方々もため池にホースを浸ける準備をしています。危険と隣り合わせです。この頃、新聞に田んぼの畦焼きで火傷を負った方も出ている危険のある大変な作業です。
風向きによっては視界が遮られるほどの煙と一緒に、黒く散り散りになった灰もこちらに飛んできて、体ごと燻されるような状態になりました。(実際、家に帰ると嫁さんに臭い臭いと直ぐ洗濯機に服を放り込まれます。この荘厳な香りが解らんかなぁ)

火を入れてから全体が焼き終わるまで1時間以内でしたが、燃え上がりこちらに進んでくる炎に魅入られ、ほんの一瞬の出来事のように感じられました。焼き終えたため池は、先ほどまで一面枯色だった草むらが、漆黒に変貌しました。この色が先代から引き継がれてきた阿弥陀に春を呼び込むための始まりの色だと思うと、ため池は灰となって再び蘇る不死鳥のようにも思われます。連綿と守られてきたため池の時の流れを感じ、
これは後世まで守り続けなければと思わされる行事でした。

 

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